台風って来るんだ
朝、目が覚めて最初に気付いたのが、風の音。
コウコウと甲高い音がどこからか聞こえてくる。
それに交じって、ちょっとだけ雨音。
どっちもうるさいって程じゃなくて
「なんかいつもは聞こえない音が聞こえる…」くらい。
カーテンの隙間から見える窓の外は、音から受けた
印象よりも荒れ模様で、お盆シーズンで一台も車の無い
企業用の駐車場にうっすらと溜まった水は、激しい風で
波打って見えるほどだった。
あ、台風って来るんだ。
ちょっとびっくりした。
30年以上生きてきて、台風には何度も出会っている。
なにも初見だから驚いたわけじゃない。
本当に来たことに驚いた。
無職な上に病気のせいで、人生ほぼリタイアしてる私は
台風だろうが最高気温が39度だろうが、まぁ言ってしまえば関係ない。
だって、家から出ないんですもの。
今の生活で私に直接関係してくる出来事は、あまりにも少ない。
自由に選択できることも少ないし、刺激も少ない。
日々「死なないことが目標です」くらいで生きていると
台風が来るということも「えー!本当に来ることもあるんだー!」
というサプライズ性を感じてしまう。勝手に。
台風って、どちらかと言うまでもなく、来ると困るし
危ないし、やっかいな存在だと思う。
だけど今の平坦な生活の中では、そんな厄介者でも
ちょっとした味付けとして、そこはかとない風味を
味わわせてくれるみたいだ。
無職&病気生活も半年を越えると、気候すらエンターテイメントに
なるんだと思うと、このままではまずいという焦りを感じる。
もし私が「最幸の志事は生きること、顔晴ろう!」とか言い出したら
そこが私の感受性の寿命だ。
遠慮せずに本体の方も息の根を止めて欲しい。
初日の日記から、物騒な締めくくりになってしまった。
おわり。